空想オルガン 初野晴

“ハルチカ”シリーズ3作目。いよいよ初の大会に挑む吹奏楽部員たちの周りで起こるちょっとした事件の話。

1作目”退出ゲーム”やその縮小再生産のようだった2作目”初恋ソムリエ”とちょっと変わった印象。だんだん青春ストーリー分が強くなってきている一方で、事件そのものは彼らから少し離れたところで起こるようになってしまい、強引な感じを受けた。

以下ネタばれあります。

-ジャバウォックの鑑札
拾った高級犬に2人が飼い主として名乗り出た。本当の飼い主はどちらか。
先生がどうやって犬の名前の目星をつけたのかがわからん、、、

-ヴァナキュラー・モダニズム
幽霊が出るという不思議なアパートの謎を解く話。
解決がいい意味でバカらしくて好き。おじいさんがんばりすぎです。

-十の秘密
吹奏楽部は県大会に。そこで出会った同じ大会に挑む女子高の抱える問題の話。
唐突に挿入される”秘密”の真相は意外性があったが、ストーリー的にはあまりひかれるものはなかった

-空想オルガン
振り込め詐欺を行う”俺”が、騙した老婆を呼び出したのは、”ハルチカ”達吹奏楽部が挑む東海大会の会場だった、、、
といっても”俺”のストーリーと”ハルチカ”達のストーリーはあまり関係なく。”俺”の正体には驚いたものの、それよりは”彼女”の秘密が最後明らかになったところが衝撃的だった。

(文庫版は今月発売)

空想オルガン (角川文庫)
初野 晴
角川書店(角川グループパブリッシング) (2012-07-25)
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初恋ソムリエ 初野晴

“退出ゲーム”に続く、”ハルチカ”シリーズ2作目。進級した2人の周りで起こるちょっとした事件を解決していく話。

面白かったけど、良くも悪くも全体的にパワーダウンした印象が強い。前作のときに感じた主人公たちの超然とした雰囲気も薄くなり(初恋ソムリエの人は別)、高校生らしくなったというか。

以下各編について。

-スプリングラフィ
“初恋ソムリエ”につながる、一人の生徒の話。
謎をとりたてて提示することなく、淡々と進行していったため、最後で明かされる事実にはグッとくるものがある。

-周波数は77.4MHz
部費を得るため地学研究会の部長を捕まえる話。
ミステリ分は薄めで、ほぼ完全に青春ストーリーですな。話自体は凄く好き。

-アスモデウスの視線
一ヶ月の間に3度も席替えが行われたクラス。席替えを行った教師は自宅謹慎を命じられている。なぜこのようなことになったのかを追求する話。
ヒントが真っ先に掲示されているので、何故席替えが行われたのかはわかりやすいのだけれども、そこから教師の自宅謹慎につながる論理の筋道が面白かった。

-初恋ソムリエ
初恋の味を再現したおにぎりを食べた伯母だったが、それは思い出の味とは全く違うものだった。という”ウミガメのスープ”に似た謎の提示から過去の真相へつながっていくのだけれども、前作の後半2編と比べるとわかりやすすぎるせいか、あまりカタルシスが生まれていない。

シリーズ3作目の”空想オルガン”も手に入れてきたのだけれども、ちょっと早まったか。

初恋ソムリエ (角川文庫)
初野 晴
角川書店(角川グループパブリッシング) (2011-07-23)
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