午前零時のサンドリヨン 相沢沙呼

バーでマジックを披露する女子高校生を探偵役に据えた、日常の謎系の連作短編集。

登場人物たちが高校生だからこその、青春の悩みが日常の謎と結びついてうまくまとまっていた。謎についても伏線がそこら中に散りばめられていて、それらが自然と収束していくのは良かった。

一方で語り手となる 男子高校生のキャラクタについてはもやもやするところが多い。手品に関しては「魔法」ではなくトリックがあると素直に受け取らないわりに、心霊関係の話については素直に受け取ってトリックを疑っていないように見える。ミステリ好きなら幽霊のたぐいをトリックで説明する話なんていくつか読んでそうなものだが、、、そういう純朴なキャラクタかと思えば、最終話の気の利かせっぷりはまさに主人公といった活躍で、展開の都合上とはいえ、読後感がいまいちスッキリしなかった。

午前零時のサンドリヨン (創元推理文庫)
相沢 沙呼
東京創元社
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赤目姫の潮解 LADY SCARLET EYES AND HER DELIQUESCENCE 森博嗣

作者による作品紹介

「女王の百年密室」、「迷宮百年の睡魔」に続くM&Rシリーズ第三作。世界観は共通となっているが、前作とのつながりはおぼろげに見える程度。シリーズについてうろ覚え状態でも問題なかったが、読んでいてわけのわからない記述が多く、これが初めての森作品だとついていけないかもしれない。

読み終わっても一番大きい感想としては「わけがわからない」。わけのわからなさを説明するのも難しいが、例えばある章で”私”として描かれていた人物が、突然別の身体に意識を移しても”私”として描かれるといったようなことが頻繁に書かれていて、読者としては混乱する展開が続く。その一方で、読み解くためのヒントも幾つか描かれており、これまでにも森博嗣の別作品で書かれてきた意識、思考と肉体の切り離しが実現した世界を描いていることはなんとなくわかる。そういう点では間違いなくM&Rシリーズの続編なのだけれども、いったい何年後のことなのだろう。

ここまでネガティブなことばかり書いているが、一気に最後まで読み切ってしまうくらいには面白かった。先がまったく見えない展開や、わけがわからないことが(ほんの少し)わかった気になるような記述が散りばめられていて、どんどんページをめくっていってしまった。ただやっぱり一番大きい感想は「わけがわからない」なのだけれども。

赤目姫の潮解 LADY SCARLET EYES AND HER DELIQUESCENCE
森 博嗣
講談社
売り上げランキング: 28,780

千年ジュリエット

文化祭で起きるいくつかの事件を描いた“ハルチカ”シリーズ4作目。
今作も吹奏楽部とは離れたところで起こる事件が多いうえに、解決を眺める展開が多いのでちょっと微妙。その中では結末不明の脚本から真相を求める”決闘戯曲”が面白かった。圧倒的不利な状況下でどうやって決闘から生還したのか、という問題設定に引き込まれた。

千年ジュリエット
千年ジュリエット

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初野 晴
角川書店(角川グループパブリッシング) (2012-03-23)
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